皆さん、いかがお過ごしですか?こちらデンマークでは夜のイルミネーションが綺麗です。自宅にもクリスマスツリーや小人ニッセを飾ったりしてクリスマスがすぐそこにやって来ている気配です。

ただ、例年とは違い、今年は12月9日からコペンハーゲンを含む多くの地域で再びロックダウンに入ってしまい、街はひっそりとしています。集会は最大10人までに制限されているので、今年は少人数でこぢんまりとクリスマスをお祝いすることになりそうです。

今回はデンマーク人のクリスマスイブについてご紹介させていただきます。まず、イブに必須のクリスマスツリーですが、デンマークではモミの木の苗木を植栽し、育てていて、本物のモミの木を飾る家庭も多いです。

最近は環境に配慮してモミの木のレンタルサービスも登場しています。クリスマスのためにモミの木を借りることができ、返却すると再び森に返してくれるのだそうです。

また、モミの木に本物のキャンドルを灯すスタイルが一般的です。燃え移らないように、キャンドルを立てる場所は隙間のあるところを選びます。ツリーの下にはプレゼントを置きます。

定番のクリスマス料理は、ダックのオーブン焼き、カラメルソースを絡めたジャガイモ、赤キャベツの蒸し煮などです。デザートには「リスアラマンド」というアーモンド入りのミルク粥を食べます。お米を牛乳で煮てミルク粥にして、冷めたらホイップクリームと砕いたアーモンド、砂糖、バニラを混ぜて作ります。お米にホイップクリームというのは日本人的には違和感があるかもしれませんが、仕上げにチェリーソースをかけると美味しいデザートになります。

面白いのが「リスアラマンド」に仕掛けをしてゲームをする伝統があることです。取り分ける前に1つだけ丸ごとのアーモンドを混ぜておき、丸ごとアーモンドが当たった人は小さなプレゼントをゲットできるというゲームです。ささやかなゲームなのですが、当たった人が全員食べ終わるまで口の中にアーモンドを隠しておいたりするので、案外盛り上がります。

その後、クリスマスツリーの出番です。キャンドルを灯し、クリスマスツリーを囲んで手を繋ぎ、歌を歌います。みんなで手を繋いでツリーを囲み、キャンドルのともし火を眺めながらしっとりとした神聖なクリスマスソングを歌っていると、1年の節目を感じます。無事に今年もクリスマスを迎えられることや、いつも支えてくれる家族や友人への感謝の気持ちが湧いてくる瞬間です。

でも、歌うのは、しっとりとした歌ばかりではありません。お決まりのハイテンポな曲も登場します。その歌を歌うときはクリスマスツリーから飛び出し、手を繋いだまま歌って家中を駆けめぐり、再びクリスマスツリーまで戻ってきます。これがけっこうハードで、息が上がって汗ばんだりもするほどです。

無事に歌を歌い終えると、いよいよ子どもたちが一番楽しみにしている時間、プレゼントオープンタイムになります。ツリーの下に置かれたプレゼントを1つずつ開け、もらった人はプレゼントの中身をみんなに見せて感想を述べ、贈り主に感謝の気持ちを伝えます。盛りだくさんのプレゼントを1つ1つ丁寧に開けていくので、プレゼントオープンは夜遅くまで続きます。

デンマーク人のクリスマスイブの過ごし方、いかがでしたでしょうか? 日本ではクリスマスは恋人同士のイベントというイメージですが、家族や親しい友人とちょっぴりデンマーク風のクリスマスを楽しんでみるのもいいかもしれません。

最後に、デンマーク語で 「God Jul (ゴッユール)」。

皆さまが素敵なクリスマスを迎えられますように。

【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。