みなさま、2021年、あけましておめでとうございます。

年末年始はいかがお過ごしでしたか?こちらデンマークはロックダウン中でしたが、例年どおりにパンッパンッと新年を祝福する音が鳴り響き、あちこちで花火が打ち上がりました。デンマーク人はそれぞれの家庭でこぢんまりと、でもしっかり新年の到来を祝っていたようです。

新年初回のSTORIESでは、大晦日のマルグレーテ女王のスピーチ元旦のメッテ・フレデリクセン首相による新年スピーチの一部をお届けさせていただきます。共に、とても心に響くメッセージでした!

まずは大晦日18時、毎年恒例のマルグレーテ女王のスピーチです。主な内容は新型コロナウイルスの影響で辛い思いをしている国民への励ましと、人間や社会にとってもっとも大切なことは何かを考え、引き続き連帯感をもって行動しましょうという呼びかけでした。

マルグレーテ女王らしかったのは、ネガティブな面だけでなく、ポジティブな面についても語られていたことです。海外ではなく国内に目を向けるようになり、デンマーク国内にある自然の美しさを発見したこと。飛行機が飛ばなくなったことで大気汚染が抑えられていること。なかなか人に会えない状況下で、普段以上の心遣いを感じられることなど。今年80歳を迎えたマルグレーテ女王はご自身の誕生日会もキャンセルとなりましたが、とても心温まる、思い出深い誕生日だったと語られていました。

そして、深夜0時。ロックダウン中でどうなるかと思っていた年越し花火は、今年も華麗に打ち上がり、賑やかな音を立て、空をカラフルに染めました 。

年越し花火はとても綺麗でした。大人数で集まることもなく、各家庭で花火を打ち上げていたのだと思いますが、それでも華やかに賑やかに空に舞い上がっていました。さすが、行事やお祝いが大好きなデンマーク人ですね。

花火を眺めながら、とても感慨深い気持ちになりました。とくに今年の年越しの花火には、1年を乗り越えられたことを祝福する気持ちや、来たる1年を良い年にしようとする想いや希望がこめられていたのではないでしょうか。

例年と違ったのは、カウントダウンで盛り上がるはずのコペンハーゲン市庁舎前の広場が立入禁止になっていたことや、国営放送で深夜0時から放映されるニューイヤーの合唱がオンラインで行われたことなどです。ステージのピアノ演奏に合わせて、合唱団員が各家庭から歌を歌う姿がスクリーンに映し出されました。

そして、迎えた2021年元旦の18時には、メッテ・フレデリクセン首相による新年のスピーチが行われました。いつもご自身のことばでわかりやすく力強いメッセージを送る43歳のメッテ・フレデリクセン首相は、コロナ禍のなかでデンマーク国民に支持されています。新年スピーチは、どこまでも彼女らしい内容でした。

2021年元旦18時に放映された、スピーチの印象的だった導入部分をシェアさせていただきます。

「こんばんは。新年を迎えました。今年は必ず、昨年よりも良い年になります。2020年は大変な年、予測不可能な年、パンデミックの年でした。同時に、これほどまでに世代を超えて連帯した年は今までにありませんでした。… 窓から人通りのない通りを眺め、ひこうき雲ひとつない空を眺め、まるでこの世界をスローモーションで眺めているようでした。感染症のおかげで最後の旅客も帰途につき、最後のパーティーも中止になり、静寂に包まれ、私たち自身の心臓の鼓動が聞こえるほどでした …(略)」

メッテ・フレデリクセン首相の新年のスピーチ

こんな導入で始まり、2020年は最悪の年だったけれど、年末からワクチンの接種が始まり、大きな希望が見えてきたことを伝え、2021年は必ずより良い年になるというメッセージを送られていました。

デンマークは少なくとも2月7日までロックダウンで、しばらく不自由な日々が続きそうですが、今年の後半には穏やかな日常が戻ってくることを願っています。

日本のみなさまも、どうかお身体をお大事にお過ごしくださいね。

【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。