皆さま、いかがお過ごしですか?こちらデンマークも明るくなり、春の訪れが感じられるようになってきました。黄色い花エランティスや白いスノードロップが、我が家の庭にも顔を出しています。
また、全体的にはまだロックダウン中ですが、小さなショップが営業を再開しました。これから春夏にかけて、徐々に社会が開いていくのはとても嬉しいことです。
さて、今回は「デンマークの習い事事情」について。
子どもに習い事をさせたい!と思うのはデンマークの親も同じで、デンマークの子どもたちも習い事をしている子が多いです。でも、日本とは習い事の種類がちょっと違うような気がします。というわけで、今回はデンマークの子どもたちの習い事をご紹介させていただきます。
子どもにどんな習い事をさせるか? と考えるとき、デンマーク人の親は「バランス」を重視しているように感じます。たとえば、身体を動かすスポーツ系が第一優先、その次に音楽などのカルチャー系といった感じです。
学校以外では頭を休めて別の活動を楽しみます
デンマークには日本の塾にあたるようなものがありません。学校の授業についていけない子どものサポートをする場所はありますが、基本的に学校や宿題以外で勉強をすることはありません。学校の外では頭を休めて別の活動を楽しみましょう、という雰囲気です。
まずは、何よりも身体を動かすこと。スポーツ系で人気の習い事はこちらです。
- スポーツ(男の子): サッカー・水泳・ジョギング・ハンドボール・バトミントン
- スポーツ(女の子): 体操・水泳・サッカー・ダンス・ハンドボール・乗馬
男の子に圧倒的に人気なのはサッカーで、地元のサッカーチームに入っている子が多いです。
男の子の習いごと、圧倒的なナンバー1はサッカー
女の子には体操が人気です。身体を動かす基本を楽しく学ぶといった内容で、最後にみんなでユニフォームを着て発表会をします。
女の子には新体操が人気。最後にユニフォームを着て発表します。
我が家の地元ロスキレでは休日に大きな体育館で発表会があり、すべての体操チームが順番に発表をします。低学年は可愛く、高学年は格好良く、見応えがあって盛り上がります。子どもにとっても、発表会で年上のお姉さんやお兄さんの発表を見ると良い刺激になるようです。
水泳は男女ともに人気です。デンマークの学校では体育で水泳を習う時間がとても限られているので、水泳教室に通って水に慣れさせたいと思う親が多いようです。我が家の地元の水泳教室には更衣室にサウナがあり、子どもたちは水泳後にサウナも楽しみます。
また、スポーツ以外では 「ボーイスカウト(ガールスカウト)」が人気です。デンマーク語では「スパイダー(Spejder)」と呼ばれ、週1回さまざまな野外活動を行い、夏にはお泊まりキャンプをします。
焚き火は「スパイダー」の定番!
野外活動の内容は毎週変わりますが、焚き火をするのは定番です。先を削った枝に手ごねパンをぐるぐる巻きつけて焚き火で焼いたり、大きな鍋でスープを作ったりします。また、森にもよく散歩に出かけ、懐中電灯やヘッドライトをつけて暗い森のなかを歩きます。
デンマークの森
枝などを削るために小刀の使い方も教えてくれ、使い方をマスターすると合格証明書をもらえます。小学校就学前の小さな子でも、危ないからといって小刀を遠ざけるのではなく、使い方をきちんと教えてあげるのがデンマークらしいところです。
そのほかにも、さまざまなパターンの紐の結び方を教えてくれるなど、週1回通っているだけでサバイバル能力が身につきます。デンマーク人は国民的に自然やDIYが大好きでとてもたくましいのですが、「スパイダー」は まさに「次世代のデンマーク人」を育てているように感じられます。
野外活動「スパイダー」のユニフォーム。小刀も使います。
カルチャー系では、ピアノやギターなどの楽器を習う教室、合唱、お絵描き教室などがあります。とはいえ、日本ほどピアノを習っている子は多くありません。デンマークでは、ピアノを習っているというと、ちょっぴり上流階級のような響きがします。
デンマーク人にとって習い事は「楽しみながら色んな能力を伸ばす場」です。決して無理はさせず、子どもが挑戦してみたいことに挑戦させます。デンマークの統計によれば、習い事をしている子の方が学校でもストレスなく過ごせているようです。楽しく習い事に通うことは、子どもの日常生活にも良い影響を与えてくれるのですね。
習い事は「楽しく」が基本。子どもを習い事に送り出すときは「Hav det sjovt!(ハ・ディ・ショウト / 楽しんで!)と声をかけます。
皆さんもぜひ「子どもが心から楽しめそうな習い事は何だろう?」と考えてみてください。子どもが楽しんで通えば、未知の能力が伸びてくるかもしれません。学校とはちょっと違う楽しい活動を取り入れて、子どもの日常生活を豊かにできたらいいですね。
というわけで、今回の合言葉は「ハ・ディ・ショウト(楽しんで)!」
【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer) 北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。 |