皆さん、お元気ですか? 新年度で新たなスタートを切られた方もいらっしゃるかもしれません。デンマークの方は徐々にロックダウンが解除され、春の陽射しとともに社会も明るさを取り戻しつつあります。
さて、今回ご紹介するのは、デンマーク人の日常的なエコ活動についてです。デンマーク人はとても環境意識が高く、国の政策はもちろん、日常生活でも環境への配慮をしています。また、環境保護のためのしくみづくりがとても上手です。というわけで、環境保護に楽しく取り組める素敵なしくみをいくつかご紹介させていただきます。
◎空き缶・瓶・ペットボトルの回収率は90%以上!
デンマークでは販売される缶・瓶・ペットボトルに「パントマーク」がついています。購入時にデポジットとして容器代を支払い、空いた容器を回収ボックスに入れるとレシート(金券)がもらえるという、やる気のでるしくみになっています!(笑)スーパーで買い物する際にレジでそのレシートを渡すと、その分の金額を差し引いてくれます。
各家庭には空いた容器を保管するスペースがあり、容器がたまったらまとめて「回収ボックス」に持っていきます。換金するとけっこうな金額になることもあり、デンマークの空き缶・瓶・ペットボトルの回収率は、なんと90%以上!にのぼります。
◎スーパーのレジ袋は1枚65円ほど
日本でもスーパーのレジ袋が有料化されていますが、デンマークのスーパーのレジ袋は桁違いの料金です。なんと、その値段は65円前後(約5クローネ)。もちろん、値段が高い分、頑丈で破れにくいという特長がありますが、それでも、毎回この値段を支払うのは少々気が引けるのではないでしょうか?通常のレジ袋の隣にはエコバッグが販売されていて、今後のことを考えると自然とエコバッグに切り替えようという気になります。
◎中古売買が盛んな循環型社会
日本でもここ数年で、メルカリなどの中古売買が定着してきているようですが、デンマークでは昔から中古売買がとても盛んです。もともと物価が高く、モノを大切にするデンマークでは、中古売買サイトが国民の暮らしを支えているようなところもあります。
昔から使用されている人気の中古売買サイト“DBA”のほか、最近人気のアプリに”Reshopper”(子どもがいるファミリー向け)や”Trendsales”(ファッション系)などがあります。
過去1年間に中古品を販売または購入したデンマーク人は約80%にものぼります!それだけ中古品を販売したり、購入したりすることが、生活の一部として根付いています。人気アイテムは家具・照明などのインテリア用品、衣類やアクセサリーのようです。
◎衣類回収ボックスはとても便利!
不要品を販売せずに「寄付する」という選択肢もあります。日本では受付場所が限られていたり、手続きが必要だったりとハードルが高め。寄付してみたい気持ちがあっても、日常生活の中で気軽に…とはなりにくいのではないでしょうか。
わが家で断捨離をしたときに役立ったのは、近所に設置されている「衣類回収ボックス」でした。不要になった衣類や靴などを回収ボックスに入れると、クオリティ別に仕分けされ、クオリティの良いものは発展途上国に寄付、使い古されたものはリサイクルしてくれます。
◎ 食品廃棄物を減らすための取り組み
食品廃棄物削減への関心も高まっています。もともと食品廃棄物が大きな問題となっていたデンマークですが、この10年ほどで食品廃棄物を減らす取り組みが全国規模で行われるようになりました。
賞味期限が近づいた商品をスーパーの1コーナーにまとめて割安で販売するほか、賞味期限が近づいた商品を仕入れて販売するショップ(例: Wefood)も登場し、人気店となっています。また、ベーカリー・カフェ・レストランなどが売れ残った商品や食事を安く販売するアプリ”Too Good To Go”も人気です。
このように、デンマークにはエコ活動をすることで、経済的メリットも得られるしくみがあり、市民がそういったしくみを積極的に利用しています。デンマークほど浸透していないかもしれませんが、きっと日本にも何かしら楽しくエコ活動に取り組めるしくみがあるはずです。
ぜひ皆さんも気軽にできる楽しいことから始めてみてくださいね。
というわけで、「イェルプ・ミリヨ(Hjælp miljøet / 環境に優しく )!」
【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer) 北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。 |