皆さま、いかがお過ごしでしょうか。こちらデンマークでは2月1日にコロナ規制が全撤廃されました。EU初ということもあって、世界中で話題になっているようです。

この2年間、コロナを通じて、私はデンマークの政治や国民性を肌で感じてきたように思います。というわけで、今回は「コロナから見るデンマーク人の国民性」についてお届けしたいと思います。

簡単に、日本とは大きく異なるデンマークのコロナ対策の特徴をまとめます。

1、ワクチン接種率の高さ → 重症化の予防

2、検査率の高さ(検査は無料) →  高いデータ監視力 →  変化に即対応

3、明確なルールとわかりやすい説明 → 国民の政治への信頼

4、政府による長期的なビジョンの提示 → 今後の生活の見通し

5、政府のフットワークの軽さ → 何かあれば臨機応変に対応してくれる安心感

6、メリハリのある政策 → 国民のストレスの軽減

1月26日メッテ・フレデリクセン首相記者会見。2月1日から規制を全撤廃すると発表。

まず、現地在住者として感じてきたことは、コロナ禍にあってもデンマークには「安心感」があったということです。「安心感」はワクチン接種率とコロナ検査率の高さ、明確に指針を示す政治への信頼に支えられています。

また、デンマーク政府はフットワークが軽く、異変があれば迅速に規制を変更します。状況に応じて、検査場・ワクチン接種会場の数なども調整しています。

さらに、デジタル化先進国の強みを活かし、オンラインによるコロナ検査・ワクチン接種・コロナパス発行など、効率的な流れができています。

政策にメリハリがあるのも特徴です。規制中は締め付けが厳しくても、規制が緩和・撤廃されると社会が大きく開かれるので、国民は思いきりガス抜きができます。メリハリのある政策は、安全面はさておき、精神面においてはとても良いように感じます。

街中でのインタビューに答えてくれるデンマーク人。規制撤廃について質問すると、とても気さくに意見を聞かせてくれます。

今回の規制撤廃についても、街でインタビューをしたところ、中には心配している人もいましたが、大半の人がポジティブに受け止め、喜んでいる様子でした。

次に、コロナを通じて見えてきた、良い意味でのデンマークらしさをご紹介します。

①連帯感。敵は他人ではなく「コロナ」という共通認識

驚いたのは、規制中に一部の若者がルールを破ってコロナに感染しても、大々的に非難されることがなかったという点です。注意喚起しながらも、青春を満喫したい若者の心情に理解を示す声も上がり、他人に対する視線が寛容だと感じました。敵はあくまでも「コロナ」であり、他人ではないのだ、という当たり前のことを感じさせてくれます。

街中やバス内でもインタビューしました。規制撤廃をポジティブに捉えている人が多いです。

②どんな状況でも「楽しむこと」を諦めない

デンマークには、定められたルール以上に自粛して我慢しなければならないという雰囲気がありません。どんな状況でも「人間らしい暮らしを追求するのは当たり前」と考え、ルールを守りながら、できる範囲で暮らしを楽しもうとします。

必要以上に自粛や我慢をせず、他人にも自粛や我慢を求めない国民性が、デンマーク全体の空気感をとても軽くしているように感じます。

③ポジティブな 国民性

一般化はできませんが、やはり基本的にはポジティブな国民性だと感じます。規制中には「きっと良くなる」と励まし合い、規制が撤廃されれば、喜んで続々とイベントを開催します。政府も楽観的ですが、国民も楽観的。おかげでただいまデンマーク経済は絶好調のようです。

コペンハーゲンの歩行者天国ストロイエ。大道芸を眺める人たち。

そして、最後にとても印象的だった我が家のエピソードをご紹介したいと思います。

今年1月、娘はコロナに感染して学校を欠席していました。欠席中にちょうど娘は誕生日を迎えたのですが、誕生日当日に驚くべきことが起きました。

なんと、クラスメイトの女の子たちが朝の登校時にみんなで我が家の前まで来て、誕生日の歌を歌い、プレゼントまで渡しに来てくれたのです。コロナ禍での心温まる思い出のエピソードです。

最後に、皆さんにデンマーク人がよく口にする言葉をシェアさせていただきます。

「Det skal nok gå!(ディスケノックゴ! / きっと大丈夫だから!)」

【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。