皆さん、こんにちは。 先日「世界幸福度ランキング2021」が発表されたのはご存知ですか?気になるデンマークの幸福度は……世界第2位でした!そして、日本は56位でした。
世界幸福度ランキング2021(2018〜2020年の総合ランキング)
ランキングを見ると、ヨーロッパの国々、なかでも北欧諸国が上位にランクインしているのが目立ちます。これはいったいどういうことなのでしょうか? 今回は「幸福度」について掘り下げてみたいと思います。
- フィンランド(北欧)
- デンマーク(北欧)
- スイス
- アイスランド(北欧)
- オランダ
- ノルウェー(北欧)
- スウェーデン(北欧)
- ルクセンブルク
- ニュージーランド
- オーストリア
「幸福度ランキング」は、1人あたりGDP・社会的支援(困ったときに頼れる親戚・友人がいるか)・健康寿命・自分の人生を選択できる自由・寛容さ(チャリティや寄付)・政治や社会における腐敗への認識をベースに作成されます。
上位にランクインしている北欧諸国の特徴は、チャリティへの寄付に参加するといった国民の寛容性の高さと、政治や社会において腐敗が蔓延していないという認識の高さです。逆に、日本は国民の寛容性が低く、政治や社会において腐敗が蔓延しているという認識が強いのが特徴です。


青: 1人あたりGDP
青緑: 社会的支援(困ったときに頼れる親戚・友人がいるか)
黄緑: 健康寿命
黄色: 主観的な人生を選択する自由
赤: 寛容さ(チャリティへの参加)
ピンク: 主観的に感じる政治や社会における腐敗の無さ
紫: ディストピア(全項目が最低値の架空の国との差)と2018〜2020年の平均値
もちろん、幸福度調査もあくまでも1つの指標です。北欧に暮らしている人がみんな幸せかというと、そんなことはありません。けれど、北欧デンマークで暮らしている1人の生活者として、幸福度調査はやはり1つの指標としての説得力をもっているように感じます。

◎ 腐敗がない=政治や社会が信頼できる → 安心感へ
政治や社会において腐敗が無いと感じることは、政治や社会、そして他者への「信頼感」の表れです。また、それはそのまま「安心感」につながります。以前、デンマーク人にインタビューをしたとき、回答者の多くが「いざとなったら社会がサポートしてくれる」と、デンマーク社会への信頼と安心感を語っていました。

また、政治家については「より良い社会を実現するために仕事をしてくれるありがたい存在」という認識で、複数の若者が「政治家はぼくたちの味方」と言っていたのが印象的でした。

◎ 心のゆとり→ 国民の寛容さ: 社会貢献の精神
国民の寛容性の高さには、社会に関心をもち、困っている人を助けたいという社会貢献の精神が表れています。
デンマーク人と話していてよく感じるのは、自分のライフスタイルは大切にしながらも、社会に関心をもち、他人を思いやる「心のゆとり」をもっているということです。
無理をしてまで他人を助けることはしないけれど、できる範囲で社会に貢献したいという気持ちをもっていて、自分が楽しめる範囲でボランティア活動に参加しているように感じます。
◎ヒュッゲ
皆さんは、デンマーク語の「ヒュッゲ(hygge)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。「ヒュッゲ」はデンマーク語で「居心地の良さ」を意味する言葉です。
デンマーク人と会話していると「ヒュッゲだった」「それはヒュッゲそうだね」といったフレーズがよく登場します。デンマーク人は日常的に「ヒュッゲ」をとても大切にしていて、ヒュッゲかどうか(居心地が良いかどうか)がプライベートライフにおける1つの判断基準になっているように感じます。
「ヒュッゲかどうか」を判断するためには、自分の感覚に耳を澄ませる必要があります。そして、自分の感覚に耳を澄ませていると、何事においても「自分にとって居心地良いことなのかどうか」を直感的に判断できるようになります。居心地の良さを感じられるひとときは、幸せなひとときです。
皆さんも「ヒュッゲ(居心地の良さ)」を意識してみると、心地良い幸せな時間が増えて、暮らしに彩りが出てくるかもしれません。幸福度世界第2位の国デンマークのキーワードは「ヒュッゲ(hygge)」です。ぜひ皆さんも日常生活のなかで「ヒュッゲ」を意識してみてくださいね。
では「ヒュッグ・ダッ(Hyg dig / 心地良いひとときを)!」
【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer) 北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。 |