みなさん、クリスマスも終わり、いかがお過ごしでしょうか?こちらデンマークは12月中旬に全国的ロックダウンに入ってしまい、例年とは少し様子が違ったこぢんまりしたクリスマスとなりました。

クリスマスが終わると一気にお正月モードに切り替わる日本とは違い、デンマーク人はツリーを飾ったまま、クリスマスの余韻を残したまま年越しに入ります。今年はロックダウン状態のまま新年を迎えることになるので少し様子が変わるかもしれませんが、今回はデンマークでの年越しの仕方についてご紹介していきす!

デンマークでは、恋人や友達と一緒に年越しをする人が多いです。服装はパーティー風で、頭に三角帽子を被ったり、パーティーによくある面白グッズが登場したりします。けれど、パーティーを始める前に大切な儀式があります

まず、年越しに欠かせないのは、大晦日18時からのマルグレーテ女王のスピーチです。現在80歳のマルグレーテ女王は明るくユーモアがあって親しみやすく、絶大な人気を誇っており、多くのデンマーク人が毎年大晦日18時に生中継で届けられる女王のスピーチを楽しみにしています。

18時少し前になるとそわそわし始め、乾杯のためのお酒を用意し、テレビをつけて準備をします。そして、18時に女王のスピーチが始まると、みんなでテレビを囲んでスピーチに耳を傾けます。マルグレーテ女王はいつも国民の気持ちに寄り添い、心に響く大切なメッセージを投げかけてくれるので、みなさん、けっこう真剣に見ます。

今年はどんなスピーチを届けてくれるのでしょうか。新型コロナで国が大きく揺れているなか、デンマーク人は例年以上に熱心に女王のスピーチに耳を傾けることでしょう。

女王のスピーチが終わると、乾杯しながらスピーチについてコメントを交わし、ディナータイムに入ります。年越しのディナーには伝統的にはタラのマスタードソース添えを食べるのが定番でしたが、近年はとくにこだわらない人が多いようです。華やかな特別な食事を用意し、どこかでオイスターやタラなどの海鮮を取り入れると、年越しのディナーらしくなります。

年越しの必須アイテムは、お菓子「クランセケーエ(kransekage)」です。マジパン(アーモンドペースト)をふんだんに使ったお菓子で、この写真のように簡易なものもあれば、リングを幾層にも重ねたタワー状の本格的なものもあります。が、けっこう甘いので、タワー状のものは大人数でないと食べきれません。

いよいよ深夜0時が近づいてくると、再びそわそわしてきます。年越しと同時に乾杯できるようにシャンパンやパーティークラッカーを用意し、テレビに映されるコペンハーゲン市庁舎の時計の針を見つめながらカウントダウンします。そして、深夜0時の鐘が響きわたると、盛大に乾杯します。また、国営放送は深夜0時になると同時に国歌斉唱に入るため、テレビを見ながら一緒に歌うデンマーク人もいます。

年を越えると、いたるところで花火が打ち上がります!新年を祝う花火の音を聞きながら、冬の夜空に無数に打ち上がる花火を眺めるのはとっても綺麗です。(が、一般庶民が打ち上げ花火をするため、誤射も発生し危ないこともあります)

こちらはコペンハーゲンの年越しの様子です。

また、同じ花火でも都市と田舎では少し雰囲気が違います。田舎では視界を遮るものがなく、360度全方向から打ち上がる花火を眺めることができます。日本ではなかなか体験できないことなので、デンマークの田舎で年越しするたびにとても新鮮に感じます。

ただいまデンマークは新型コロナによる規制もあるので、2021年への年越しは静かな年越しになるのでは? と予想していますが、どうなるでしょうか。またご報告は新年、2021年にさせていただきます。

みなさま、今年のSTORIESを読んでいただき、どうもありがとうございました!ぜひ来年もどうぞよろしくお願いいたします。どうかお身体には気をつけて、良いお年をお迎えください。

最後にデンマーク語で。「Godt Nytår (ゴット・ニュットオー / 良いお年を)!」

【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。