皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

こちらデンマークは電気代・ガス代・物価の上昇で、なかなか厳しい秋冬に突入しようとしています。ですが、今回はデンマークの短い夏の余韻に浸りつつ、少し前に訪問したデンマークの最北端スケーエンについてレポートをお届けします。

「スケーエン(Skagen)」という地名を聞いたことがありますか?

スケーエンはユトランド半島の最北端、つまりデンマークの最北端にある街で、夏は透き通った海に自然光が反射してキラキラと輝く美しい場所です。

印の付いているところがデンマーク・ユトランド半島の最北端にあるスケーエン

スケーエンの最大の魅力は、2つの海が合流する光景を眺められるところです。夏はその様子を見るために各地から訪問客が集まる人気の観光地です。

最北端のビーチには徒歩でも行けますし、トラクターワゴンに乗って行くこともできます。私はトラクターワゴンに乗って行ったのですが、車内は観光客がいっぱいで賑わっていました。

最先端のビーチまで走るトラクターワゴン。夏の観光シーズンには頻繁に運行している。

ビーチに巨大なトラクターワゴンという光景もなかなか面白いです。

大きなトラクターワゴン。ワゴンを牽引するトラクターのタイヤは大人の身長ほどの高さ。

到着すると、いよいよビーチの最北端まで歩いて行きます。

先端は長いビーチになっていて、ビーチをはさんで両側から波が押し寄せてきます。左右両側から波が押し寄せてくる光景は、とても不思議です。

両側から波が押し寄せるビーチ。真ん中には大きな水溜まりがいくつもできている。

ビーチの先っぽに着くと、2つの海の波が合流する様子を眺めることができます。両側から押し寄せる波がぶつかり合う光景は、とても新鮮で、感動的で、長時間眺めていても飽きません。

2つの海から押し寄せる波が合流する。

水に囲まれたスケーエンは、芸術家に愛される街でもあります。19世紀末から20世紀初頭にかけて、スケーエンの芸術家は水と光をモチーフとした絵を描き、その絵画は「スケーエン派」と呼ばれるようになりました。

絵画には、スケーエンの独特な透き通った空気感がとても美しく描かれています。スケーエンを訪問される方はぜひ美術館にも足を運んでみてください。

スケーエンのイメージは、透き通った水と、水面に反射する光。

スケーエンには特徴的な建築様式もあります。淡い黄色の外壁に赤い屋根、そして赤い屋根が白のペイントで縁取られているのがスケーエンの家の特徴です。

黄色の外壁に赤い屋根の家はデンマークの他の地域にも多くみられるが、屋根の縁が白く塗られているのがスケーエンの家の特徴。

遠くから見ると、屋根にうっすらと白いパウダーを振りかけたように見えます。スケーエンを訪問する機会があったら、ぜひ家々も眺めてみてください。

スケーエンの家々。

デンマークで北欧らしさを感じるには、スケーエンは絶好の場所です。青空のもとで透き通った2つの海が合流する様子を眺めていると、ダイナミックで美しい地球の営みを感じずにはいられません。

ぜひ皆さまも機会があったらVelkommen til Skagen/ ヴェルコメン・ティル・スケーエン!」( スケーエンへようこそ!)。

訪問する機会がない方も、2つの海が合流する壮大な景色をぜひ頭に思い浮かべてみてください!


【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。