皆さん、いかがお過ごしですか。デンマークはやっと暖かくなり、薄着で外出できるようになりました。日も長くなってきて、明るい季節の到来です。

さて、今回は北欧デンマークの離乳食についてお話しさせていただきます。

離乳食には、その国の食文化が反映されます。日本では、離乳食というとまずはお粥からスタートですよね?デンマークでは、普段からデンマーク人が朝食によく食べるオートミールのポリッジ(お粥)などを離乳食にします。

スーパーではオートミールポリッジやコーンポリッジのパウダーも販売されていて、水を混ぜるとお粥状になります。

市販のオートミールのパウダー。水を足してお粥にする。プレーンもあれば、リンゴやバナナの風味がついている商品も。

 また、茹でてブレンダーなどですり潰したじゃがいもやニンジンを離乳食にする人も多いです。その際、少量のバターも混ぜます。

日本の離乳食の本には、初期には油分や塩分を避けるように書かれているので、初期からバターを混ぜることに衝撃を受けたことを覚えています。

すり潰した果物も離乳食として人気です。りんご・バナナ・梨・桃などが定番の果物です。

りんごや梨は離乳食の定番。ポリッジの風味としても人気。

また、プルーンはお腹の消化を良くすると言われていて、便秘気味の赤ちゃんには、プルーンを与えることが推奨されています。私も実際に試してみましたが、本当に効果があったので、気になる方はぜひ調理法や与え方を調べてみてくださいね。

ちなみにデンマークの市販の離乳食は日本ほどバリエーションが豊かではありません。

初期は果物や野菜をペースト状にした商品、後期にはラザニアやミートソースパスタなどが人気です。

生後4〜8ヶ月向けの市販の離乳食。
左から、りんごとバナナ(4ヶ月)、洋ナシとプラム(4ヶ月)、野菜ミックス(4ヶ月)、じゃがいも・ニンジン・牛肉のミックス(6ヶ月)、ミートソースパスタ(8ヶ月)。
果物の離乳食。フルーツ風味のお粥、ヨーグルト、スムージーなども。

市販の離乳食のバリエーションが少ないからかもしれませんが、私の印象では、デンマーク人は一般的に離乳食を手作りしている印象です。また、オーガニック志向で保育施設でも家庭でも、小さな子どもの食事にはできる限りオーガニック食材を使うように心がけています。

そしてあまり制限をせずにいろんな食べ物を与えます。たとえば生後7ヶ月からは肉・牛乳・バターまたは植物性オイルなどを含んだ離乳食を推奨しています。

また離乳食とは別に、液状のサプリメントの摂取も推奨されています。

秋冬に日照時間が短いデンマークではビタミンD不足が問題になるので、離乳食開始前の早い段階から液状のビタミンDを与えます。さらに生後6ヶ月頃からは鉄分も与えます。

デンマークでは1歳頃から保育施設に通い始めるのが一般的で、保育施設ではスープやライ麦パンに具をのせた食事が定番メニューです。

面白いのは、子どもたちがスティック状のキュウリや生ニンジンをスナック代わりに食べることです。おかげでデンマーク人の夫に「スナックを買ってきて」と頼んだら、ニンジンを買って帰ってきて驚いたことがあります(笑)。

スーパーではスナック用に小型ニンジンが販売されています。スティック状に切ったきゅうりとニンジンは健康的な間食です。

というわけで、今回はデンマークの離乳食事情でした。離乳食には、その国の食文化がそのまま反映されるので、各国の離乳食を比較するのはとても面白いですね。

では、皆さんもSpis godt(スピース・ゴット / 健康的によく食べましょう)!」


【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。