寒気も少しずつゆるみ始めていますが皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ただいま私は久しぶりの日本を満喫中です。そしてついに、ずっと訪れたいと思っていたグリーンコットン代官山店に行くことができました!

グリーンコットン 代官山店は、東急東横線「代官山駅」から徒歩で2分ほどの場所にあります。道路に面した大きな窓からは、たくさんのカラフルな洋服が見えるので初めて訪れる方でもすぐにわかると思います。

白を基調とした明るく清潔感がある店内には、生まれたばかりのベビー向けアイテムから、10歳くらいまでのキッズアイテムがずらりと並びます。

ベビーからキッズ、女の子向けから男の子向けまで幅広いラインアップ。ロマンティック、カジュアル、ポップとテイストもさまざま!

「私たちが扱っているのは、遊び心いっぱいのカラフルな『Fred’s World(フレッズ・ワールド)』と、ロマンティックで繊細なプリントが特徴の『Musli(ミューズリ)』、この2つのラインです」と声をかけてくれたのは、代表取締役の小野知里さん。社長業の傍らお店に立つことも多く、訪れるお客さまには「小野さんファン」も多いと聞きます。

代表取締役の小野さん。明るくほがらかで、小さなお客さまにも「おのさん!」と親しまれている。

小野さんが代表取締役に就任したのは10年ほど前。グリーンコットンの理念やしくみ、製造工程などに深く共鳴したからだといいます。グリーンコットンは今から40年前、デンマークの環境問題の改善に熱意を持つ専門家と、デンマークのオスロ大学教授であったLeif Nørgaard(ライフ・ノアゴー)により生まれたブランドです。

「地球にも人にも優しいオーガニックコットンの服をつくりたい」という想いのもと、コットンの栽培をはじめ、製造の各工程についても先駆的な取り組みを行い、現在も改良を重ねています。

今でこそ「SDGs」や「サステナブル」といったワードは一般的になりましたが、グリーンコットンでは40年も前から取り組んでいると聞いて、とても驚きました。

グリーンコットンで使用するのは、大切に育てられたオーガニックコットン。綿花は糸となり、生地に加工されていく。

「オーガニックコットンは化学肥料や農薬を使わないため、土壌改良から収穫までとても時間と手間がかかるんです。『人と環境にやさしいものを』と労力を惜しまない姿勢は、染色技法にも表れています」と小野さんは話します。グリーンコットンと言えば、鮮やかなカラーやプリントも人気の理由のひとつ。染色には「Low impact dye(ローインパクト・ダイ)」という方法が用いられています。

Low impact dyeとは、人の体に安全で、環境負荷が最も少ない染色のことを指します。使う染料は、すべて鉛・銅・水銀といった重金属を含まない安全なもの。当然ながら「何でも使える」わけではなく、染料選びにも制限がかかるのです。その中でこれだけのカラーバリエーションを生み出していると知り、衝撃すら覚えました。

Fred’s Worldのトレードマークはカエル。排水をきちんと浄化処理し、カエルが住めるような水にするという理念から生まれたマスコット。

また、グリーンコットンの製品は、ほぼすべてがGOTS認証を受けています。GOTSとは、Global Organic Textile Standard の略で、オーガニック繊維製品の世界基準です。これは素材そのものがオーガニック認証を受けていること、染色、編地、縫製など全ての工程で環境への配慮が徹底されていることを意味します。

GOTSは現在市場に出回っている中で最も厳しい表示制度であり、品質保証だけではなく、洋服づくりに関わる人々の労働条件を改善するための社会的基準も含まれているといいます。

GOTS認証のマーク。グリーンコットン製品にはこのタグがついている。

「他にもフェアトレードのしくみ、生地を無駄にしないカッティング、デザインだけでなく耐久性や動きやすさを考えたデザインなど、ブランドの魅力について話しはじめるとなかなか止まりませんね」と苦笑いをする小野さん。

なかでも小野さんが自信をもって発信するのは、生地の品質のよさ。どの商品も手に取ってみると、コットンらしいふわっとしたやわらかさと温かさが感じられます。敏感な子どもたちには特にその肌触りのよさがわかるようで、「今日もこれを着るの!」とパパ・ママに宣言するお子さんもいるのだとか。

これらのアイテムもすべてオーガニックコットンをメインに作られている。

こうした子どもたちやパパ・ママの支持を受け、誕生したのがグリーンコットン 代官山店なのです。じつはこのお店は、世界で唯一のグリーンコットンのフラッグシップ店でもあります。

小野さんは「卸売販売ではブランドの世界観まで、なかなかお客様に伝わらなくて。実際に商品を見て触れていただいて、グリーンコットンの魅力や考えをもっとわかりやすく、いろんな人たちに伝えたいなと思ったのがはじまりでした」と、代官山店を構えるに至った経緯を話します。

グリーンコットン ジャパン代官山店。入口近くにはホーロー製のかわいい店舗サインが。

オープンから2年経つという代官山店には、今日もさまざまなお客様たちが訪れます。次回はこのグリーンコットン 代官山店について、より詳しくレポートしていきたいと思います。

では皆さま、「グレッダ・ティル・ネステ・ラポート/Glæd dig til næste rapport!(ぜひ次回のレポートもお楽しみに!)」


【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。