写真: Max Mestour & Amelie Louys 撮影
皆さま、2023年が明け、いかがお過ごしでしょうか?本年もどうぞよろしくお願いいたします。
私は、ただいま久しぶりに日本に滞在しています。デンマークでは昨年2月からマスクをしている人をほとんど見かけていないので、日本に来てマスク着用率の高さに驚いています。。慌てて私もマスクを購入しました。
さて、今回ご紹介させていただくのは、2019年に完成した屋上でスキーができる廃棄物発電所「コペンヒル」です。
じつは「コペンヒル」設計と建設プロセスを追ったドキュメンタリー映画「コペンハーゲンに山を」が、現在日本で上映中のため、ホットな話題でもあります。
「コペンヒル」は世界的に知られるデンマークのビャルケ・インゲルス建築事務所が設計した、ゴミを焼却して発電する廃棄物発電所です。
コペンハーゲン市の約3万世帯に電気を、約7万2000世帯にセントラルヒーティング(熱源装置でつくった温水をパイプを通じて送り込む暖房システム)を供給しています。
面白いのは、ルーフトップが天然芝・人工芝ミックスのスキー場になっているところです。夏に訪問したときも、麓にはスキーの練習をしている人たちがいました。
また、頂上付近にはカフェ・バーもあり、夏場はベンチに座って美しい景色を眺めながらおしゃべりを楽しめます。
また、建物の側面には85メートルのクライミングウォールがあり、ロッククライミングもできます。
また、スキー場の横には歩道があり、ジョギングやウォーキングなども楽しめます。
これまでは「ゴミ焼却炉」というと、汚く環境にも悪いイメージの場所でしたが、「コペンヒル」は電力や熱を供給できるクリーンでサステナブルな施設。そして、景色を眺めながらスポーツやおしゃべりも楽しめる場所です。
前代未聞の施設の建設には膨大な時間と費用が費やされましたが、コペンヒルは、先進的な環境対策モデル事例の一つとして、私たちに希望を与えてくれます。汚く環境を汚すゴミ焼却炉から、電力や熱を供給し、スポーツやイベントを通じて市民が交流できる憩いの場へ。革新的な建築は、私たちの心象風景までも変える力を持っています。
また、可能性を信じ続けて果敢に挑戦することで、不可能だと思われることも実現できるのだという力強いメッセージを指し示してくれています。
皆さんも「コペンヒル」を心の灯台にして、不可能だと思われることにも、ぜひ果敢に挑戦してみてください。
では、「レット・オス・プルーヴ! / Lad os prøve(試しにやってみましょう)」!
この連載のプラットホームであるデンマークのベビー&キッズ服ブランド 「グリーンコットン」も、身体にも環境にも優しい先駆的な取り組みをしてきたブランドなのです。
日本滞在中にグリーンコットン代官山を訪問します。次回のレポートを楽しみにしてくださいね!
【執筆者プロフィール】針貝 有佳(はりかい ゆか / Yuka Harikai Drejer)
北欧デンマーク在住のライター・トランスレーター。東京・高円寺出身。2009年12月からデンマーク暮らし。カフェ好き、読書好き、アート好き。非日常を味わえるような散歩や旅も好きです。